筆は画材によっても描画法によっても使い勝手が違ってきます。
そこで、先生方にそれぞれの「オススメの筆」をご紹介いただきましたので、こちらを参考にしながらご自身で相性の良い筆を見つけてください。
【油彩筆】
【水彩筆】
【面相筆・極細筆・則妙】
【油彩筆】
油彩の筆は、同型同サイズの筆が複数本あるといいです。一本の筆を洗いながら使うのではなく、絵の具の色や明るさごとに筆を分けて使うためです。そのため筆の数は多いほど効率的です。
■名村大成堂 名村 油彩筆 HF(フィルバート)
豚毛で造られた厚みのあるフィルバート型(平筆の角を丸くしたような形)の筆です。弾力・コシがあり、粘りのある油絵具をすくい上げることができます。油絵らしい表現に適した筆です。
参考:世界堂サイト
https://webshop.sekaido.co.jp/product/A009000
安田先生より:絵の大きさによって使いやすい筆の太さも違いますが、まずは6号~12号を用意するといいでしょう。そのほか18号又は20号などが下地造りのためにあるとよいでしょう。
■ホルベイン ハードリセーブル
リセーブルとは、天然のクロテン(セーブル)の毛を模した合成繊維毛です。その中でもハードリセーブルは太いリセーブル毛を使用し、豚毛のような強いコシと耐久性を実現したものです。
参考:ホルベインサイト
https://holbein-shop.com/?pid=86287543
竹内先生より:個人的にはラウンド(丸筆)よりもフィルバート(4号6号あたり)を多用しています。強いコシを持ちながら、穂先はよくまとまります。毛がくたったり広がったりせず、クリアで細密な仕事がしやすいです。
■名村大成堂 ナムラTN
良質なタヌキ毛を選別し、牛耳毛を程良く混毛して味付けされています。絵具の含みも良く、ソフトな描き味が、タヌキ毛の特徴でもあり、仕上げ用の筆として人気があります。
参考:名村大成堂サイト
https://www.namura-tsd.co.jp/namura-tn/
竹内先生より:画面上で絵の具をぼかす作業等に向いています。穂先のばらつきが植物の茂みなどの表現にも使えます。細密に描きたい場合でもこういうぼんやりした筆は結構重宝します。
■刷毛など
竹内先生より:絵刷毛は1本持っておけば、下塗りやグレーズ的な仕事以外でも使えて重宝します。また、丸くぼさっとした大きな筆もあると便利です。
左から、オックス刷毛(雄牛毛)15号:世界堂
OXF(馬足毛を主としたイミテーションオックス)24号平筆:ナムラ
SF(馬毛・フィルバート)24号:ホルベイン
A印絵刷毛(羊毛)25号:ナムラ
【水彩筆】
竹内先生より:水彩筆は、その都度洗いながら使えるので本数はそれほどいりません。描く作品のサイズに応じた太さの筆が数本あれば良いでしょう。
上から
ミニリセーブル
ブラックリセーブル
赤軸→デザイナーズリセーブル平筆
黄軸→極品平筆
丸筆:
■ホルベイン ミニリセーブル(3本セット)
より細かく描く時に、軸の長さや重さに邪魔をされずに仕事ができる短い筆。持ち運びもしやすいです。ブラックリセーブルよりも穂先が細くまとまり、精細に描けます。
参考:ホルベインサイト
https://holbein-shop.com/?pid=86349726■ホルベイン ブラックリセーブル丸筆 6号
リセーブルにリスの毛がブレンドされています。コシはやわらかめで、絵の具・水の含みが良いです。多少乱雑に扱っても、描画時にはしっかりまとまってくれるしなやかさがあります。
筆致は程よい丸みがあります。作品サイズにもよりますが、6号あたりの筆であれば細い描線もベタ塗りも割と不足なく描けるので、これ1本あれば大体事足りる、汎用性の高い筆です。
参考:ホルベインサイト
https://holbein-shop.com/?pid=86350030
平筆:広い範囲を綺麗に塗るなど、大きな仕事の時は平筆があると良いです。平筆は穂先だけで広く塗れるので、均一に、より効率的に描けます。作品サイズに応じて、3号〜7号のいずれかがあると良いです。世界堂では日本画の筆売り場に置いております。
■ホルベイン デザイナーズリセーブル 平筆 穂先がよくまとまるので細かい仕事もしやすいです。また、叩くようにすると、穂先がバラついてくれるので、樹木の表現などにも使えます。
参考:ホルベインサイト
https://holbein-shop.com/?mode=grp&gid=1797760■世界堂 極品平筆 羊毛とナイロンの混合筆で、絵の具・水の含みが良いです。リセーブルに比べるとやや穂先のシャープさにかけますが、柔らかい表現はしやすいです。
【面相筆・極細筆・則妙筆】
細密描写には、面相筆のような極細筆が必須です。細密描写でなくても、髪の毛や細い枝先などを描くために極細筆を持っているとよいでしょう。
志世都先生より:日本画では線描に特化した多種類の筆が作られてきました。
水性画材に適したものが多いのですが、コシのあるイタチ毛を使用した筆は油彩画でも使用できます。
■清晨堂 狼狸面相 :志世都先生より
上質のイタチと白狸を混ぜた、コシのしっかりした清晨堂で一番人気の面相筆です。細い線描や、細部の彩色にも使われます。狼狸の狼はイタチを指します。
参考:清晨堂サイト
https://seishindoabe.com/p/rori-menso/
■清晨堂 長穂鼬毛面相 :中澤先生より
上質の中国イタチだけで出来た長穂面相筆です。イタチのしなやかな調子を持ち、含みが良く、細い線からふっくらとした線まで描けます。
参考:清晨堂サイト
https://seishindoabe.com/p/choho-yumo-menso/
■Artify 極細 描画用 絵筆セット
極細筆のセットです。高品質な合成毛で作られ、さまざまな絵具や媒体に耐えるように設計されています。シームレスなアルミニウムフェルールは形状を維持し、絵具が毛の間に染み込むのを防ぎ、耐久性があります。
安田先生より:安価なセットですが、筆の造りは案外しっかりしていて、持っていると楽しくなるセットです。油彩やアクリルを使う人におすすめです。
参考:Amazon
■清晨堂 特製則妙
日本画筆の中で最も代表的な筆で、特別に吟味した山羊毛と玉毛をたっぷり使用した特製筆です。非常に含みがよく、線描から彩色まで幅広く使用されます。
中澤先生より:日本画の筆は彩色・即妙・削用などがあり、それぞれに特徴がありますが、即妙筆は穂先が長いので含みが良く、先が効くので使いやすいです。
参考:清晨堂サイト
https://seishindoabe.com/p/tokusei-sokumyo/