『菱田春草展』

菱田春草は、明治時代、岡倉天心の門下として、横山大観らと日本画の改革を進めた画家です。
西洋絵画を学び、それまで描かれていた輪郭線をやめて「朦朧体」と揶揄されながらもぼかしの手法を駆使して描いたり、遠近法を取り入れたりといった、新しい日本画の姿勢を築いていきました。
今回は、100点を超える作品を集めた見ごたえのある展覧会です。
洋画・日本画のジャンルを超えて、純粋に美しい絵画を堪能していただきたいと思います。

『落葉』 重要文化財
1対の屏風の前に立った時、晴れているのに霧がかかった山道の景色が思い浮かび、
なんだか、このまま歩み入っていけそうな気がしました。

この展覧会では、やはり重文の『黒き猫』が美術館のイチオシのようですが、保存が難しいため限定展示になります。(10月15日~11月3日)
猫の絵は他にもあって、どれも可愛かったですし、鹿やイタチ、鳥などの動物たちが風景とともに自然のたたずまいで描かれていました。

展覧会の楽しみ方は人それぞれ色々あると思います。
今回わたしは、春草の絵を通じて優しく美しい日本の風土を、改めて懐かしく誇らしく眺めたような気がします。

【菱田春草展】
東京国立近代美術館
11月3日まで
公式HP http://shunso2014.jp/index.html

※図録を購入しました。

【日本画豆知識】
題名のそばに、「絹本彩色:けんぽんさいしき」「紙本彩色:しほんさいしき」と書かれています。
これは、絹本の場合は絹に、紙本の場合は和紙に、いずれも色を使って描かれたものということです。
特に絹本は光によっての劣化が激しく、長期の展示はなかなか難しいそうです。

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